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■ 大会情報

第35回ウィンターカンファレンスin奈良のご案内

大会長 畑 敏道(同志社大学)


 2019年2月28日(木)から3月2日(土)の2泊3日の日程で、日本行動科学学会第35回ウィンターカンファレンス(WC)をお世話することになりました。会場は近鉄奈良駅から徒歩2分にある旅館、白鹿荘です。会場から徒歩10数分のエリアには東大寺、奈良公園、奈良国立博物館などのほか、河瀬直美監督の映画の舞台として知られる”ならまち”などが点在しています。 プログラム1日目は、夕刻のウェルカム・レクチャーで幕を開けます。中谷内一也先生(同志社大学)に、教育的な講演をいただきます。近年、毎年のように地震や水害など多くの災害が日本全国を襲っています。西日本では従来から南海・東南海地震の発生が懸念されています。”ひとりひとりの意識が大切”ではなく、実際の減災・避難行動を起こさせることの重要さと困難さについて、貴重なお話しをうかがえるものと思います。夕食後にはシンポジウム1『自閉症の生物学と行動科学〜基礎研究からのアプローチ』を開催します。話題提供者は松ア秀夫先生(福井大学子どものこころの発達研究センター)、栃谷史郎先生(鈴鹿医療科学大学)、安江みゆき先生(国立神経・精神医療研究センター)のお三方です。臨床系/基礎系のどちらの先生にもご関心を持っていただける内容ではないかと思います。 2日目は、若手研究者によるシンポジウム2『セラピープロセスを行動の視点から捉える』を開催します。話題提供者は嶋 大樹先生(同志社大学)、村井佳比子先生(神戸学院大学)、茂本由紀先生(京都文教大学)のお三方です。臨床的介入の効果を行動で測定することの重要さについてお話しいただけるものと思います。 以上をお読みいただくとお気づきのように、今回のWCでは「行動」と「バイオロジカル」にこだわりました。「行動」に関しては昨年の懇親会での先生方との会話がきっかけとなっています。また、「バイオロジカル」という要素は、心理学は生物学だという私自身の理解によるものです。 また2日目の晩には、752年の開始以来、これまで一度も途絶えることなく続いてきたという1268回目の東大寺の「お水取り(修二会)」を見物するエクスカーションの時間も設ける予定です。古キ・奈良の雰囲気につつまれながら、最新の科学的研究の成果を愉しむという、おつな会になるのではと期待しています。年度末の多忙な時期での開催になりますが、多数の研究者、大学院生、学部生の参加をお待ちしております。


【日時】
2019年2月28日(木)16時30分 〜 3月2日(土)10時頃

【場所】
奈良・白鹿荘
〒 630-8266 奈良市花芝町4
TEL 0742-22-5466
TEL:0195‐78‐4111
URL:https://www.hakushikaso.co.jp


【参加費】
一 般 5,000円(会員) 6,000円(非会員)
院 生 3,000円(会員) 4,000円(非会員)
学部生 1,000円

【宿泊費】
1泊12,000円(中学生以上、2食(朝・夕)付)
小学生などについてはお問い合わせください


【スケジュール】
< 2月28日(木)>
15:30 受付開始
16:30〜17:30 ウェルカム・レクチャー 『緊急地震速報の行動科学』
 演 者:中谷内 一也先生(同志社大学心理学部)
緊急地震速報システムは地震波を地震観測網によって検知し、大きな揺れが予想される地域に地震動到達の数秒から数十秒前に警報を流すものである。揺れまでの時間的余裕はたいへん短いが、速報を受信した住民が安全確保のための行動をとることができれば、被害は大幅に削減すると期待されている。本講演では2つの速報事例を材料とした住民調査の結果を紹介し、緊急地震速報の有効性を高めるための方策について議論したい。

17:30〜19:30 夕食、入浴
19:30〜21:15 シンポジウム1『自閉症の生物学と行動科学〜基礎研究からのアプローチ』
 演 者:
 松ア 秀夫先生(福井大学子どものこころの発達研究センター)『自閉症エネルギー代謝異常の研究』
自閉スペクトラム症(ASD)は社会性・コミュニケーションの障害などを臨床的特徴とする発達障害であるが、その病態メカニズムはいまだ不明で、生物学的根拠のある治療手段がない。我々はASD特有のエネルギー代謝異常に着目した研究を進め、ASDの病態メカニズムの理解に有用な所見を世界に発信し、診療応用を目指してきた。この発表ではASDにおける酸化ストレス・ミトコンドリア機能に焦点をあてた研究成果を紹介する。

 栃谷 史郎先生(鈴鹿医療科学大学保健衛生学部)『神経発達障害のモデル動物の現状と展望−母子関係を基盤とする脳発達の観点から』
哺乳類においては、胎児期の健全な母体環境や、新生児期の母子間の適切な関係性を基盤として子の脳は発達する。演者は母子間の物質的な結びつきの、子の神経発達における機能について研究を進めてきた。胎児及び新生児はタウリン合成能を持たず、母体に由来するタウリンに依存している。神経発生初期のタウリン欠乏や受容体の機能阻害が将来的に神経発達障害様の行動を引き起こすことを動物実験により明らかにした。もう1つ、母子を結びつけるものに母体腸内細菌がある。子の腸内細菌叢は母親の常在細菌叢を第一のソースとして定着していく。周産期母体腸内細菌の攪乱が、仔の出生後の脳発達に影響を与え、最終的に仔の行動の変容を引き起こすことを明らかにしている。両トピックに関し未発表データを含め、紹介したい。

 安江 みゆき先生(国立研究開発法人 国立精神・神経医療研究センター 神経研究所 微細構造研究部)『自閉症モデルマーモセットの社会行動』
ヒトは多くの場面において公平を求め、不公平を忌避する性質があることが知られている。ヒト以外の霊長類においてもこのような性質をみることができる。私たちは、向社会的な霊長類として知られているコモン・マーモセットが、第三者であるヒトが互恵的かどうかに敏感であり、不公平を忌避する性質を持っていることを明らかにした一方で、自閉症モデルマーモセットが、これらの性質に脆弱性を示すことを明らかにした。

21:15〜 Data blitz ※ポスター発表者の方に、この後行われるポスター発表の内容について、スライド1枚・30秒で紹介していただきます。
21:30〜22:15 ポスター発表
22:30〜 懇親会

< 3月1日(金)>
10:00〜 拡大運営委員会
17:00〜18:15 夕食
18:15〜19:45 東大寺・修二会見物
20:15〜20:45 総会
20:45〜22:15 シンポジウム2『セラピープロセスを行動の視点から捉える』
企画趣旨
本シンポジウムは,クライエントの心理的問題やセラピープロセスを行動的枠組みで捉えた近年の研究を紹介しながら,プロセスをどのように測定し可視化すれば有効な介入につながるか論じることを目的とする。セラピーの開始から終結において,クライエントには様々な心理的変化が生じる。例えば,面接内での言語反応の変化や問題行動の増減,新奇行動の生起等があるだろう。セラピストは,こうした変化を適切に評価し,介入することが求められる。行動的枠組みは評価と介入を直接的に結ぶ上で有効といえる。以下のシンポジストと共に,面接室内外で生じる変化の評価と介入について検討する。

 演 者:
 茂本 由紀先生(京都文教大学臨床心理学部)『抑うつ的反すうと行動の柔軟性を潜在指標から捉える −漢字迷路課題の開発−』
抑うつ的反すうは,うつ病の発生や維持の一要因である。また,関係フレーム理論の視点より,抑うつ的反すうは,不機能な問題解決行動であり,行動の柔軟性の低下を招くことが指摘されている。以上より,抑うつ的反すう,行動の柔軟性の測定が,うつ病の治療において必要である。そこで,これらを測定する漢字迷路課題を開発した。当日は,漢字迷路課題の紹介と妥当性検討のデータを示し,測定法の有用性について,議論を深めたい。

 嶋 大樹先生(同志社大学)『日常生活下における行動の変化を捉える―Ecological Momentary Assessment(EMA)の応用―』
日常生活下の行動をリアルタイムに測定する方法として,その場,その瞬間に測定を繰り返すEMAがある。今回は,EMAを用いた日常生活下における体験の回避(不快な私的出来事を避けようとする試み)の測定を試みた。その際,体験の回避が“負の強化”によって維持される点に着目し,随伴性に基づいた測定方法を開発した。当日は,行動的枠組みによるアセスメントの利点と,それを介入に活かす方法について議論する。

 村井 佳比子先生(神戸学院大学心理学部)『面接場面での発言の変化を捉える−動機づけ面接と行動変動性―』
動機づけ面接(MI)は、面接技術でありながらアルコール依存症の改善などに効果があることが確認されており、1対1の面接場面での発言の変化が行動変化につながることを検証したという点で画期的である。しかし、その変化の機序は明確にはなっていない。一方、行動の変化を捉える指標として行動変動性がある。当日は、行動変動性研究などの基礎研究の視点をふまえ、発言の変化が行動の変化につながる機序について議論したい。

22:15〜 懇親会


【参加申し込み】
参加申し込みは下記URLにて行ってください。
URL:https://ws.formzu.net/fgen/S68910153/

参加申し込み締切:2月5日(火)まで延長しました。

【発表申し込み】
1日目(2/28(木))に行われるポスター発表の演題を募集します。多彩な演題をお待ちしております。エントリーは上記参加申し込みURLにて行ってください(200字以内のアブストラクトも入力いただきます)。
発表者の方は最大A0サイズのポスターと、Data blitz用のスライド1枚(PowerPointファイル限定)をご準備ください。Data blitzでは30秒でポスターの内容についてご紹介いただきます。Data blitz用のPowerPointファイルは当日ご持参ください。

発表申し込み締切:2月5日(火)まで延長しました。


【アクセス】
近鉄奈良駅から徒歩で2分程度です。近鉄奈良駅へは、近鉄京都駅(JR京都駅に隣接)から特急(要特急料金\510)で30分です。伊丹空港からはリムジンバスで60分です。


【大会事務局】
第35回WC準備委員会(畑 敏道、大屋藍子、鎌田泰輔、関口弥生)
連絡先:jabs35wc[at]yahoo.co.jp([at]->@)

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